舞台はアイスランド島、北緯64度のレイキャビク。 17歳の主人公・御山慧には3つの秘密があった。

ひとつ、クルマと話ができる。ふたつ、美人な女の子が苦手。 みっつ、その職業は、探偵――。

主人公である慧がアイスランドの大自然で車中泊をするシーンから始まるこの作品は、超能力×ミステリー×大自然という異色の掛け合わせで物語が展開されていきます。作者が実際にアイスランドを訪れその土地に魅了されて執筆しているというだけあって、特筆すべきはその自然の描写。単行本で読んでいることを忘れさせるくらいのスケール感と確かな画力で描かれる風景は、びゅうびゅうと吹き付ける風や大地の裂ける音まで聞こえてきそうです。

特に2巻は日本から訪れた友達と一緒に名所を巡るのですが、ほとんどツアーガイドのような内容になっています。これを読んでアイスランドに行きたい！と思ったのは私だけではないらしく、実際に旅行会社が企画した「北北西に曇と往け アイスランドツアー」はすぐに満席となりました。

そして厳しい自然の中で生きる主人公が本当にかっこいい！魅力的なキャラクターがたくさん出てくるので、漫画好きの方も夢中になれると思います。毎巻裏表紙には、キャンプグッズや現地の草花のイラストが図鑑のように描かれているのがニクイ。読み終わる頃にはきっと、「死ぬまでに行きたい場所リスト」にアイスランドが追加されること間違いなしです。