ロンドンはあらゆる魅力がつまった街だ。どんな映画にも最高の舞台を用意することができる。

ロンドンにある駅を例にあげても、様々なジャンルで題材にされている。

テムズ川沿いにあるウォータールー（waterloo）駅は、キンクスの名曲「ウォータールー・サンセット」が有名だ。キングスクロス(Kings cross)駅はもちろん、ハリーポッターの9 1/2 プラットホームで知られている。

そしてぺルーのジャングルからパディントン駅にやってきた小熊が、その駅名をとって名づけられたのが「パディントン」である。

好奇心と元気がありあまる小熊のパディントンが、ロンドン中を所狭しと冒険する。その中でもひとつ印象的な場所を挙げるとすれば、「自然史博物館」だ。

日本で博物館と聞いて、あなたはどんな建物を思い浮かべるだろうか。そしてあなたがいま思い描いた博物館のどれよりも、ロンドンの「自然史博物館」は格調高いはずだ。ロマネスク様式の優雅でかつ威厳のある意匠。エントランスの大ホールにおいて、天窓から差し込む光に照らされるのは、ディプロニクスという恐竜の骨格標本だ。

DIPPYという愛称で親しまれているが、体躯は堂々たるもので、体長は21.3メートル、4.25メートルの高さから、エントランスホールを睥睨している。ホールは重厚でシックで、その意匠は人の理性の結晶のような威厳がある。その中に古代の、まだ人類が存在していなかったころに生きた野生動物の標本という組み合わせは、不思議な調和となって空間を演出している。

その調和は、イギリス人が好む伝統と革新の調和などとも通じるところがある。そして調和のある生活のなかに、いつもトラブルを巻き起こすパディントンである。

だけど彼はいつも誠実で、そしてその可愛さも加わって、全面的に応援したくなるクッドボーイなのである。

映画ではクライマックスの自然史博物館もふくめて、ロンドンに行く楽しみを増やしてくれます。そしてロンドンへ行くときは、できればパリからユーロスターに乗り、パディントン駅で列車を降りて旅を始めてはいかがでしょう。