原作・遠藤周作の日本文学『沈黙』に出会い、28年かけてマーティン・スコセッシが映画化を実現した作品。

17世紀江戸時代初期、隠れキリシタンの土地、長崎。日本で捕らえられ棄教したとされる高名な宣教師フェレイラを追い、長崎に潜入した弟子のロドリゴとガルペ。キリスト教への激しい弾圧下で、彼らは“隠れキリシタン”と呼ばれる多くの日本人に出会います。幕府の厳しい取り締まりにより棄教を迫られるものの、自らの信仰心ゆえに棄教できないことで、目の前で隠れキリシタンたちは弾圧されていく…。
信仰とは何なのか？神とは何なのか？宗教について深く考えさせられる作品です。

なぜ当時の状況で、命をかけてまで日本人がキリスト教を信仰したのか？？
彼らがそこまでして、キリスト教に求めていた救いは何なのか？

今も多く残る、隠れキリシタンゆかりの地

長崎の観光地の一つ、大浦天主堂には私も何度も行ったことがありますが、この作品を鑑賞してから改めて訪れると「彼らはこの場所で一体どんな祈りを捧げていたのだろうか？」と、様々なことを思いめぐらせてしまいます。

劇中の隠れキリシタンの里「トモギ村」のモデルとなった長崎市内の外海（そとめ）地区や、五島は禁教期に多くの隠れキリシタンが潜伏した場所で、現在でも多くの協会や関連する遺産が多数残されています。

この作品を観ることで、長崎市内の隠れキリシタンにまつわる場所を、謎解きのように探索できるかもしれません。
そして長崎原爆資料館もあわせて観ると、「祈り」の意味が少しだけわかる気がします。