チベット文化と自然の美しさに触れる作品。
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セブン・イヤーズ・イン・チベット(1997)
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自分の意思で、時期や行き先を決められる旅は幸せだなあ、とつくづく思います。
政治的な理由や国際情勢が原因で、突如居場所を失い、生きる場所を探し求めるため、行き先もわからずにはじまる旅。
この作品は後者の旅の物語です。
第2次世界大戦下、オーストリアの登山家ハインリッヒ・ハラーはヒマラヤ山脈を目指す途中、インドでイギリス軍の捕虜として捕らえられてしまいます。
収容所からの脱獄に成功し、たどり着いた地チベットで若き日のダライ・ラマ14世と出会い、心を通わせていくという実話に基づく作品。
「後者の旅の物語」と言ったものの、登山家ハラーはヒマラヤ山頂を目指すという、自らの意思で旅に出るところから物語は始まります。
私は登山家ではないので、この先ヒマラヤを目指すことは恐らくないと思うのですが、この映画で度々映し出される雄大な景色は本当に圧巻です。
そんな雄大な景色に包まれる感触を知っているからこそ、登山家ハラーは全てを捨ててでも旅を望んだのかもしれません。
しかし捕虜として収容されてしまう物語中盤からは、望んだ旅は予期せぬ方向に進み出し、旅は本当に過酷な生き抜くための試練でしかなくなってしまいます。
収容所では、生まれた息子の顔を一度も見ることないまま、母国に残した妻から離婚届けが送りつけられてきます。
息子のことを想う日々の中、収容所を脱獄したハラーは生きる場所を探すため、過酷な自然の中を歩き続け3年、チベットにたどり着きます。
利己的で協調性に欠け、度々仲間とも揉め事を起こしてきたハラーですが、過酷な旅を経てやっとのことでたどり着いたチベットの首都ラサで異文化や価値観のまったく異なる人々に触れ、少しずつ思いやりの気持ちや情を知り、精神的な成長をしていきます。
ハラーを成長させたチベット文化。
現地でハラーがかけられた言葉で、チベット文化を知る興味深いセリフがありました。
「あなた達は、一番になること、目立つことが大事だと考える。
でも私たちチベット人にとっては、いかに自分を捨てられるかが大事だ。」
チベット文化の、情に深く、親切で、正直で、優しく、謙虚な姿勢は劇中の多くのシーンから感じることができます。
そしてそのチベットの象徴である、ダライ・ラマの存在。
幼き日の純粋で慈悲深い姿は、現在も変わることなく、その思想がチベットという美しい国を作っているのだと感じました。
この映画では、チベットの自然の美しさや、首都ラサの荘厳さ、チベット文化の美しさを十二分に味わうことができます。
そしてハラーのチベットでの7年には、旅から学ぶ多くの体験が詰め込まれています。
チベットには今の社会で失われつつあるものが残されており、敬意を感じずにはいられません。
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セブン・イヤーズ・イン・チベット(1997)の作品情報
Runtime126分
Genreヒューマン
Directed byジャン=ジャック・アノー
Castブラッド・ピット 、 デヴィッド・シューリス 、 B.D.ウォン 、 マコ 、 ダニー・デンゾンパ 、 ジャムヤン・ジャムツォ・ワンジュク 、 インゲボルガ・ダクネイト 、 ジェツン・ペマ 、 ヴィクター・ウォン 、 ラクパ・ツァムチョエ
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