インドの青春映画は、インドへの旅を計画したくなる傑作。
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きっと、うまくいく(2009)
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北インドのチベット文化圏であるラダック地方は、その絶景によって旅人にとって人気のエリアである。
中心地はレー(Leh)という、標高3500mの高地にある町だ。レーに行くには、デリーなどから飛行機で一気に到達するよりは、陸路でいき低高度の町で、一度高度順応させた方が良い。
その「低高度の町」のひとつに、映画でも出て来たマナリというところがある。主人公たちもここを経由してレーへ向かうから、コメディだけどけっこうしっかり設定してあると感じた。
デリーからマナリ(2000m)、マナリからレーは5000mの峠を越す。乗り合いバンだと2泊3日の行程だ。このルートは肉体的につらいことで有名だ。
私もそのルートを通ったが、確かにつらいかった。私はだいたい4000mあたりから耳鳴りや頭痛などの症状がでて、身体がしんどくなってくるが、そんな状態でも、道中の圧倒的な絶景は、鮮明に記憶に残っている。
植空と地上が一体化したような高地をひたすら走っていると、俗界を離れていくような神々しさすら感じるものだ。
そしてラダック地方には、パンゴン・ツォという湖がある。
高度4300m にある天空の湖だ。その青さは一度見たら一生忘れられないと、マニアックな旅人の間では有名だった。
そしてパンゴン・ツォは、ある映画の大ヒットのため世界中の旅行者に知られるようになった。
その映画が本作「きっとうまくいく」である。
ラストシーンの舞台、高度4300mにある青い湖「パンゴン・ツォ」
この映画はムンバイの工科大学を舞台にした青春映画だ。インド映画らしくとても長い。そして全編においていろいろ過剰である。
しかしそれこそがインド映画だ。
結果としてこの映画は、人間のもつ喜怒哀楽すべてにマサラをまぶして大皿の上に盛り付けてやったぜ!というような娯楽大作となっている。
上げるときは上げるし、落とすときは落とす。その落差はベネズエラのエンジェルフォール並みである。
インド国内では当時の歴代興行記録を塗り替えただけあって、構成や脚本、演出、俳優陣も申し分ない。主人公も魅力的で、その人生哲学に多くの人が共感し、観終わったあとはとても爽やかな気持ちなれる。
そして映画のラストシーンの舞台が、パンゴン・ツォなのである。
パンゴン・ツォには、レーから日帰りで行ける。
途中で世界で三番目に高い峠は、5000mを越えている。
そしてパンゴン・ツォが現れる。
高度4300mでは、空気は澄み、景色の輪郭がとてもはっきりしてくる。
景色は下界よりもあいまいさがなくなり、すべての色が強く主張してくる。空も湖もとにかく青く、その色は、湖が空の青さを映しているのか、
空が湖の青さを映しているのかわからなくなるほど一体化している。
人工的な音はほとんどなく、ただ風の音だけがしている。そのなかを雲だけが流れていく。
この澄み切った風景は、主人公の心象が現世に表れたような場所で、映画のクライマックスとして最高の舞台となっている。
高度4300mにある青い湖は、一度見たら決して忘れられない絶景だ。結構しんどい行程だが、一生に一度だけ、ぜひ訪れてみていただきたい。
あなたの心の中に、あの澄みきった湖の風景をもつことは、今後の人生で少なからず意味をもつことになるはずです。
旅に出る前にまずはこの映画を観て、インド映画の楽しさとパンゴン・ツォの絶景を楽しみましょう。
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きっと、うまくいく(2009)の作品情報
Runtime170分
Genreコメディ
Directed byラージクマール・ヒラニ
Castアーミル・カーン 、 カリーナー・カプール 、 R・マドハヴァン 、 シャルマン・ジョシ 、 オミ・ヴァイディア 、 ボーマン・イラニ
(C)Vidhu Vinod Chopra Production 2009.All rights reserved
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