ハワイの魔法 ハワイの奇跡。
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サウスポイント(よしもとばなな)
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ハワイを訪れた人たちはみんな、まるで恋をしてきたかのように旅の話をする。
それだけハワイは特別な力のある場所なのだ。
私もハワイを旅して、そこで流れる穏やかな時間に身を任せていると、日本での忙しい暮らしで固くなった心が、ほどかれていくのを感じた。
そして帰国時には、大きなエネルギーをもらっていた。
この本の著者、よしもとばななさんもハワイに魅了された一人で、ハワイを題材にした小説やエッセイをいくつも書いている。
本書は、ハワイを舞台にした小説のひとつだ。
登場人物たちはみな心に傷を負っている。
彼らは個性が強すぎるのだった。そういった個性はアメリカなどでは“才能”として育てられるが、日本では“エキセントリック”として捉えられてしまう。そして矯正を期待されたり、異物として扱われがちだ。
登場人物たちはそんな日本の社会の中で生きづらさを感じながらも、最低限の折り合いをつけて暮らしていっている。その中で、傷つくことも多い。
そして物語は進むにつれ、彼らは人生の変遷とともに、ハワイへと導かれていく。そしてハワイは、優しく大きな自然で、彼らを包みこむ。
旅をしていると時々、いつまでもいたくなるような場所に出会う。その場所にある時間の流れやリズムに、いつまでも浸っていたいような場所。
心が安らいで、自分がそこの一部になっているような安堵感がある場所だ。
ハワイに行った人たちは、もしかしたらそういった「安心できる場所」を見つけるから、ハワイを想うようになるのかもしれない。
主人公のテトラは、ハワイにきてから縮まっていた心の手足を大きく広げる。そしてハワイの自然と人々は、彼女のそのままを受け入れていく。
それが彼女にとっては、何かの魔法や、奇跡のように感じられるのだ。
そして彼女の人生は、新しく生まれ変わっていく。
心の手足を伸ばして、感じるハワイ。
よしもとばななさんの詩的な文体と登場人物への細やかな愛情、そしてハワイへの大きな信頼は、この物語をおとぎ話では終わらせていない。
彼女に起こるような物語は、ハワイを訪れる私たちにも平等に訪れるのだ。
この本に向き合うときは私たちも心の手足を伸ばして、身をゆだねてみほしい。
きっとハワイの大きなエネルギーを、私たちも感じることができるはずだ。
\ この場所に行ってみたい!/
サウスポイント(よしもとばなな)の作品情報
Authorよしもとばなな
Publisher中央公論新社
ISBN-104122054621
ISBN-139784122054622
この情報は[サウスポイント]をもとに掲載しています。掲載情報は商品によって異なる場合があります。
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